フリーランス必見!確定申告をスムーズに進める帳簿のつけ方

目次

1. フリーランスの確定申告とは

フリーランスとして事業を行う個人は、年間の所得が一定額以上になると、法律に基づいてその所得額と支出額を税務署に報告する「確定申告」を行う義務があります。この確定申告のために帳簿を作成し、税務署に提出する必要があります。

特に、フリーランスエンジニアなど技術職でサービスを提供している方は、こうした確定申告の手続きが重要となります。その一方で、どのように帳簿をつければよいのか、何を準備すれば確定申告をスムーズに行えるのか、といった具体的な情報については知らない方も多いでしょう。

このセクションでは、フリーランスと確定申告の関係、その手続きの流れなどを具体的に解説します。特に重要となる「青色申告」と「白色申告」という2つの申告の方法について説明します。

1.1 フリーランスが確定申告をする理由

フリーランスが確定申告をする理由は主に2つあります。ひとつ目は、自分が得た所得に対する税金を正確に算出して納税するためです。フリーランスは自己営業者であるため、所得税や住民税、消費税など様々な税金の計算や納税に自身で責任を持つ必要があります。

また、二つ目は税金を節税するためです。フリーランスは、事業に必要な経費を所得から差し引くことができます。こうした経費の申告を正確に行うことで、所得税の上限額を減らすことができます。

以上のように、確定申告はフリーランスとして所得を得る上で、その義務ともいえますし、自らの経済活動を円滑に行うための重要な手段ともいえます。

1.2 確定申告の種類:青色申告と白色申告

確定申告の方法は大きく分けて「青色申告」と「白色申告」の2つに分けられます。これらは、所得計算の方法や税額の算出方法が異なるなど、特徴が大きく異なります。

青色申告は、事業の収入と支出を厳密に計算して差し引くことで所得を計算します。この方法を選ぶと最大65万円の控除が受けられますが、主要簿の作成や保存が必要となります。

一方、白色申告は主に個人業主や小規模の事業者向けの簡易な申告方法で、事業の規模や業種により一部の経費が自動的に控除されます。

1.3 青色申告のメリットとデメリット

青色申告のメリットとしては、最大65万円の所得控除が受けられるという大きな特典があります。また、申請をすることで必要経費を全て控除することができ、節税のメリットもあります。

一方で、帳簿の記録や保存、経理帳簿の作成など細かい記録が求められるため、手間がかかるというデメリットがあります。

特にフリーランスエンジニアの中には、技術的な仕事に専念したいと考え、経理や管理業務に手間をかけたくないという方もいるかもしれません。そのため、青色申告を選ぶかどうかは、そのメリットとデメリットを比較検討した上で決定することが重要です。

1.4 白色申告のメリットとデメリット

白色申告は手続きが簡単であることが最大のメリットです。白色申告を選ぶと、あらかじめ定められた範囲内では経費を一律に控除することが可能となります。

しかし、白色申告の場合は青色申告のような特別な控除はありません。さらに、必要経費が一定以上の場合には控除が受けられないため、所得税が高くなります。

したがって、フリーランスとして事業を行い始める際には、事業規模や経費などを考慮しつつ、青色申告と白色申告のどちらを選ぶかを決めることが必要となります。

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2. フリーランスの帳簿の基本

フリーランスとしてビジネスを進める際に非常に重要なのが帳簿の活用です。正確な収支管理と税務対策が行えるよう、帳簿の基本的な知識を身につけておきましょう。

2.1 仕訳とは何か

仕訳とは、会計の世界における「出来事」を記録するための方法です。具体的には、会社が行った取引や行為を、貸借の対象となる項目と金額で記録します。

例えば、「クライアントからの報酬受け取り」や「機材の購入」など、フリーランスの活動における金銭の移動をすべて記録します。

仕訳のポイントは、必ず二つの勘定科目に分けて記録すること。これが「二分法」と呼ばれる原則です。

2.2 主要簿と補助簿の違い

帳簿の中には主要簿と補助簿が存在します。総勘定元帳・仕訳帳・日記帳が主要簿、これらを補完する詳細な内容を記録するものが補助簿です。

主要簿は、全ての取引を記録したもの。補助簿は、主要簿の内容を具体的に補完。例えば、「現金出納帳」は現金の動きを具体的に追うための簿です。

両者の違いを理解し、適切な簿を選んで活用することが帳簿管理のコツです。

2.3 簡易簿記と複式簿記の概要

簿記には、大きく分けて「簡易簿記」と「複式簿記」の2つが存在します。自身のビジネス規模や管理の規模に応じて適切な簿記法を選択しましょう。

簡易簿記は、名前の通り簿記の簡略化バージョン。一方、複式簿記は、より詳細な財務状況を把握することができますが、簿記の知識が必要となります。

フリーランスであれば初期段階では簡易簿記で十分ですが、ビジネスが拡大するにつれて、複式簿記に切り替えることも考えましょう。

2.4 帳簿の作成と保存の義務

フリーランスとしての所得を国に報告するため、確定申告書の提出が必要です。その際、帳簿の作成と保存が義務付けられています。

この帳簿作成は、税務署が要求した場合に提出するためだけでなく自身の経営状況の把握のためにも重要な手段です。

帳簿は最少10年間保存するというルールがあります。このように、確実な帳簿対策がフリーランスの継続的な経営には欠かせません。

3. フリーランスの帳簿作成の手順

フリーランスとして成功するためには、確定申告に必要な帳簿作成が欠かせません。怠った結果、税額計算で間違いが起きたり、必要な経費が計上できなかったなどといった経済的な影響だけでなく、信用問題にも連鎖する可能性があります。ここでは、フリーランスに最適な帳簿作成の手順を教えます。

3.1 取引の分類と記帳

まず最初に行うべきなのが、取引の分類です。取引の分類は、後々の帳簿作成をスムーズに進めるために重要な工程です。具体的には、収入源を具体的に把握し、その収入が営業収入なのか雑収入なのか区分けすることが求められます。また、支出も同様に分類し、個々の経費や購入した商品・サービスを具体的に記録します。

次に、これら分類した取引を記帳します。流れとしては、「日付」「摘要(取引相手や行った事業内容)」「金額」を具体的に記載します。基本的には、取引が発生したその日に記帳することが望ましいです。

毎日の記帳が面倒だと感じる方もいるかもしれませんが、定期的に記帳を行っておきましょう。一つ一つの取引記録は、後々の帳簿作成や確定申告に必須な情報となります。

3.2 仕訳帳の作成方法

取引の記録と分類が終わったら、次に進むのが仕訳帳の作成です。仕訳帳は、取引を2つの面から記録するための帳簿で、一般的に「貸方」と「借方」に分けて記入します。

具体的には、「誰からどれだけの金額を受け取ったか」「何にどれだけの金額を支払ったか」を、日付順に記録します。貸方と借方の合計金額が一致することで、間違いがないか確認できます。

仕訳帳は、自分でエクセル等を用いて作成することもできますが、今はオンラインの会計ソフトを利用することで、自動的に仕訳帳を作成できるものも多くあります。そのような便利なツールを利用して、時間の節約と確認作業の効率化を図りましょう。

3.3 総勘定元帳の作成方法

続いて、総勘定元帳の作成に移ります。総勘定元帳は、仕訳帳から情報を引き出し、勘定科目ごとに整理したものです。それぞれの勘定科目に対する取引内容と金額、取引が行われた日付を詳細に記載します。

自分がどの勘定科目にどれだけの費用を使ったのか、また、どの勘定科目からどれだけの収入を得たのかを一覧で確認できるため、ビジネスの分析や将来の経営方針の策定に活用することができます。

仕訳帳の作成同様、総勘定元帳の作成もエクセル等を用いて手作業で行うことができますが、時間と労力を考慮すると、会計ソフトの利用がおすすめです。総勘定元帳まで作成できれば、あとは試算表作成へと進むことが可能となります。

3.4 試算表から決算書への流れ

次に、総勘定元帳を基に試算表を作成します。試算表は、借方と貸方の合計が一致しているか(つまり、二重簿記が正しく行われているか)を確認するための帳簿です。

試算表が整ったら、いよいよ決算書の作成に取りかかります。決算書には、損益計算書と貸借対照表が含まれ、それぞれ「一年間でどれだけ利益が出ているのか」「財務状況は健全なのか」を表します。

これらの手順を踏み、帳簿を正確に作成することが、フリーランスとしての営業活動を健全に続ける上での義務です。また、帳簿作成は単なる義務的な作業ではなく、自身の会計理解を深め、自己のビジネス成績の分析や改善に活用できる重要なツールです。

4. フリーランスが活用するべき帳簿の知識

フリーランス活動をするためには、帳簿の知識が必要不可欠である。事業の収支管理、確定申告、税金の計算など、様々な場面で帳簿の知識を使います。以下に、フリーランスが押さえておくべき帳簿の知識について詳しく解説します。

4.1 発生主義と現金主義の比較

発生主義現金主義は、どちらも企業の利益を計算するための方法です。発生主義は、取引が発生したときその収入と費用を計算します。一方、現金主義は、現金を実際に受け取ったり支払ったりしたときに収入と費用を計算します。

発生主義は、事業の本来の収益性を理解する上で重要な方法です。一方、現金主義は現金フローの管理という観点から重要な方法です。

フリーランスの場合、どちらの方法を採用するかは、自身のビジネスモデルやキャッシュフローの状況によります。具体的な状況に応じて適切な方法を選択しましょう。

4.2 フリーランスが知っておくべき税制

フリーランスの方は、自身で税務申告を行う必要があります。そのため、所得税法消費税法などの基本的な税制について理解しておくことは非常に重要です。

たとえば、青色申告は、フリーランスの方にとって有利な税制の一つです。特に、1年間の経費が多くなる場合などでは、この青色申告を利用することで節税効果を狙うことが可能です。

また、税金を計算するための簿記方法、取引の記録方法、資産の評価方法など、税法に規定されている事項についても把握しておく必要があります。

4.3 消費税を理解する

フリーランスの方にとって、消費税の理解は不可欠です。消費税は売上に対し一定の割合で計算される税金で、価格設定や利益計算に影響します。

また、消費税は税務申告の際にも関わってきます。自身で消費税を計算し、国に納める必要があります。

しかし、消費税については、フリーランスの事業規模によって異なる特例が設けられています。自身の事業規模に応じた適切な消費税の計算方法を理解しておきましょう。

4.4 財産評価のポイント

フリーランスの方が所有する財産は、事業の資産として計上されるため、その評価方法も重要です。具体的には、建物、機械、工具、備品、商品、資材等の評価方法が存在します。

たとえば、長期使用する固定資産は償却法によって評価します。この場合、固定資産の種類や取得価格、耐用年数などによって評価方法が変わります。

また、商品や資材等の在庫は、一般的には原価法によって評価します。この場合、在庫の性格や管理方法、他の関連事項などを考慮して評価します。

5. フリーランスのための帳簿付けのテクニック

フリーランスとして自身の収支を管理するため、帳簿付けのテクニックを知ることは重要です。この章では、効率的に帳簿をつけるための方法を紹介します。

具体的には、事業用とプライベートの分離の重要性、領収書やレシートの管理法定期的な帳簿付けのメリット、そして電子帳簿保存法の利用について述べます。

これらのテクニックを押さえることで、フリーランスとしての事業運営をスムーズに行うことができます。

5.1 事業用とプライベートの分離の重要性

フリーランスとして事業を運営する際、まずはプライベート用と事業用の口座を分けることが推奨されます。

収支を明確に把握するためには、混在してしまうと管理が複雑になり、帳簿付けが困難になる可能性があります。ですので、しっかりと口座を分けることで、帳簿付けの精度を高めることが可能です。

また、事業用口座からの出金は全て経費となるため、必要な経費を見落とすことなく確定申告に役立てることができます。

5.2 領収書とレシートの管理はどうする?

事業で発生した経費については、領収書やレシートが証拠となります。

これらを適切に整理して保管することが求められます。特に、領収書は確定申告の際に重要な証拠となりますので、失くさないように注意が必要です。

また、スキャナーやスマートフォンのカメラを利用してデジタル化し、クラウドサービスなどに保存しておくという方法もあります。これにより、物理的なスペースを取らないだけでなく、探したい領収書をすぐに見つけることが可能になります。

5.3 マメな帳簿付けがもたらすメリット

帳簿付けは事業の成長にとって必要不可欠な作業です。しかし、一度に大量のデータを処理するのは非常に時間がかかり、精度も落ちてしまいます。

ですので、定期的にマメに帳簿をつけることが推奨されます。これにより、作業の負担を分散させ、確定申告前に慌てることがなくなります。

また、定期的に収支をチェックすることで現状の経済状態を常に把握することができ、必要な経営判断を行うことが可能になります。

5.4 電子帳簿保存法の利用

最後に、電子データでの帳簿保存について考えてみましょう。

電子帳簿保存法では、決算書類や仕訳帳などを電子データとして保存することが認められています。これにより、紙の帳簿・レシート・領収書などを保管する手間が省けます。

また、デジタルデータだと探したいデータを検索してすぐに見つけることができ、効率的な管理が可能となります。

6. 会計ソフトをフリーランスの帳簿付けに活用する方法

フリーランスとしての活動は新しい自由さをもたらしますが、一方で税務署に対する確定申告の責任も伴います。帳簿作成はその一環であり、最適な方法は会計ソフトの活用です。しかし、どのようなソフトを選べば良いのでしょうか?

6.1 会計ソフトの選び方

会計ソフトを選ぶ際は、予算、ユーザーセクションや機能が重要な要素となります。また、操作性やサポート体制も見落とせません。操作が直感的でなければ、思わぬエラーを引き起こし、結果的に時間や労力を増やすことになるでしょう。勘定科目や税率設定など、根本的な機能が搭載されていなければ、帳簿付けに必要な情報を網羅できません。

6.2 会計ソフトを使った効率的な帳簿作成の方法

利便性の高い会計ソフトを使用することで、データを一元管理し、必要な情報を素早く取り出すことが可能となります。強力なデータ分析機能を活用すれば、日々の財務管理をより洗練化することが可能です。また、クラウド型の会計ソフトを使用すれば、場所や時間を問わずにアクセスが可能となり、随時更新や共有が可能となります。

6.3 フリーランスが使うべき会計ソフトの機能

フリーランスが必要とする会計ソフトの機能としては、勘定科目の管理、見積書作成、売上管理、経費入力といった基本的な機能が求められます。また、業績分析機能や青色申告対応機能なども重要な要素となります。果ては、クラウド型であればデータバックアップ機能も忘れてはなりません。

6.4 フリーランスが踏むべき会計ソフトの活用ステップ

最初に、自身のビジネスに合った会計ソフトを選択し、習熟します。次に、関連データを一元管理し、日々の帳簿付けを行います。その後、データ分析機能を駆使して財務管理を行い、最適な経営判断を下すために役立てます。また、税務申告に関連した機能を活用し、確定申告を行うことも大切です。これらを一つ一つ確実にステップアップすることが、フリーランスとしての会計ソフト活用の鍵となります。

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