1. はじめに
情報化社会の進展に伴い、ITエンジニアは新しいプログラミング言語を学び続けることを求められる一方で、古い言語の知識も必要とされます。その一つがCOBOLです。
1.1 COBOL言語の概要
COBOLとは、1950年代に開発されたプログラミング言語の一つです。COBOLはCommon Business Oriented Languageの頭文字を取ったものであり、その名の通りビジネス分野でシステムを開発するための言語です。
COBOLは生命保険や銀行など、多くの主要な業界のシステムで広範に使用され、特に大規模なデータの操作やバッチ処理に優れています。それは、人間にとって読みやすい構文と高い移植性が特徴で、多くの企業が長年にわたってCOBOLシステムを運用してきました。
1.2 COBOLを学ぶ資格とは
そして、COBOLを効率よく学ぶための一つの手段が資格取得です。
COBOLの資格は、実務でのCOBOLプログラミング能力を証明するもので、COBOLの基本的な知識とコーディング能力を問われます。また、資格は新たなキャリアの一歩にもつながるため、多くのエンジニアが挑戦しています。
新しい技術が次々と登場するIT業界において、老舗のプログラミング言語であるCOBOLの知識とスキルを有することで、これからも大きな価値を生み出すことができるでしょう。
2. COBOL言語の特徴と用途
COBOLとは、1959年に設立された「CODASYL委員会」により開発が始まり、ビジネス向けのコンピュータプログラミング言語として設計されています。COBOLの主な特徴と用途について解説していきます。
2.1 COBOLの特徴
COBOLの特徴については、主に以下の3点が挙げられます。
1つ目の特徴として、COBOLは英語に近い自然言語ベースの書式を採用しています。一般的なプログラムでは、セミコロンや括弧などの記号を多用しますが、COBOLではこれらの記号の代わりに「IF」「THEN」「ELSE」などの英語に近い表現を使います。そのため、プログラムの目的や処理の流れが直感的に理解しやすいです。
2つ目の特徴として、COBOLは大規模なデータ処理が可能である点です。ビジネス領域におけるデータ処理の要となるため、大量のデータを効率よく処理する能力が備わっています。
3つ目の特徴として、移植性が高いという点が挙げられます。COBOLは様々なコンピュータ環境で動作し、過去のレガシーシステムから現代のクラウド環境まで広範に対応しています。
2.2 COBOLの主な用途
COBOLの主な用途として最もよく知られているのは、金融・保険・公共機関などビジネス領域における大量データの処理です。その理由は、上述の特徴により、安定した動作と大規模データの高速な処理能力が求められるビジネス領域でCOBOLが頻繁に採用されてきたからです。
また、60年以上経過した現在も、COBOLはその堅牢性と信頼性からレガシーシステムの保守・改修に引き続き使われています。さらには、最新のIT環境とも親和性が高く、クラウドサービスやデータ分析の領域でもその力を発揮しています。
3. COBOL資格の種類とその特徴
COBOLの資格認定を行っている公認機関は多岐にわたり、それぞれの資格にはその独自の特色と取得のメリットが存在します。
3.1 国内外の主なCOBOL資格試験
国内におけるCOBOLの資格試験について一部をご紹介します。
まず一つ目として挙げられるのが、「ITパスポート試験」です。「情報処理推進機構（IPA）」が主催しているこの試験では、COBOLを含む基本的なプログラミング知識が問われます。
次に、「パソコン技術者試験 COBOLⅡ」については、「日本商工会議所（JCCI）」が主催しており、COBOL言語に関する詳細な知識と実践的なスキルが問われます。
また、国外に目を向けると、米国では「Micro Focus Certified Professional」や、「COBOL Programming Certification by IBM」などがCOBOLに特化した資格として取得可能です。これらの資格は、COBOLに関する実践的なスキルと高度な知識を証明するものとなっています。
3.2 各資格の特性と対象者
ITパスポート試験は初級者を対象としており、IT全般の知識を問う広範な試験です。具体的には事業戦略やシステム開発、プロジェクトマネジメントからセキュリティまで、幅広い範囲が試験範囲となります。その中に、COBOLに関するフラグメントも含まれています。
一方で、パソコン技術者試験 COBOLⅡはCOBOLの知識を深く専門的に学んだい方、または実務経験者を対象とした試験となります。試験内容もCOBOLのプログラム設計や文法、実行制御からデータ管理まで、COBOL関連の技術全般が求められます。
そして、Micro Focus Certified Professionalは、Micro Focus社の製品を使用したCOBOLのアプリケーション開発スキルを認定するもので、ツールを使った具体的な作業能力を証明します。
また、COBOL Programming Certification by IBMはCOBOLの高度な知識と実践的スキルを証明するもので、IBMの製品や統合環境を使ったCOBOL開発の実践能力が問われます。
これら各資格の取得は、自身のスキルレベルやキャリアパスに合わせて選択していくことをお勧めします。
4. COBOL資格の取得方法
COBOL資格を取得するためには、まずは適切な参考書と教材の選び方を理解し、それに基づいて学習計画を立て、いざというときの資格試験の申し込み方法を把握することが重要となります。
4.1 参考書と教材の選び方
COBOL資格の参考書や教材は数多く存在し、その中から自分に合ったものを選ぶことが成功の第一歩となります。まず、自分が受ける資格試験の範囲をしっかりと確認することが重要です。試験範囲に合致した参考書や教材を選ぶことで、無駄な時間を使わず効率的に学習することができます。
また、独学で学習を進めるのであれば、例題や演習が豊富な参考書やオンラインの教材を選ぶとよいでしょう。理解を深めるためには、自身で問題を解いてみることが最適な学習方法の一つです。
4.2 学習計画の立て方
効果的な学習計画を立てるためには、自分の現状の理解度や目標とする試験までの期間を考慮することがクリティカルとなります。たとえば、もし基本的なプログラミングの経験がある場合、COBOLの基礎部分はある程度スキップできるかもしれません。
始める前に参考書全体を一通り目を通し、それをいくつかのブロックに分け、その完成予定日をカレンダーに記入するなど、具体的な計画を立てることで目標達成への道筋が見えてきます。
4.3 資格試験の申し込み方法
COBOLの資格試験の申し込み方法は、主にオンラインで行われます。提供元の公式サイトを頻繁にチェックし、申し込み開始日や終了日、試験日などを確認することは必須です。
また、試験には受験料が必要になり、その料金も試験により異なるため、公式サイトで確認しておきましょう。いざ受験となったときに混乱しないよう、事前にアカウント作成や入金手続きも済ませておくことをおすすめします。
5. COBOL資格のメリット
COBOL言語を使いこなすための資格取得は、プログラミングのスキルアップだけでなく、就職やキャリアアップにも大きなメリットをもたらします。それでは、具体的にどのようなメリットがあるのかを以下に詳しく解説いたします。
5.1 キャリアアップへの影響
COBOL資格は、IT業界におけるキャリア形成に非常に有用な一歩となります。まず、資格取得は自身のスキル証明となり、あなたがCOBOL言語を扱うことができるプログラマーであることを示します。これは、あなたが情報技術の一部分を理解し、適用できる能力を持っていることを雇用者に証明する一助となります。
また、COBOLを用いた開発プロジェクトに参加するチャンスが増えるため、様々なITプロジェクトや業界でのキャリアの道が広がります。COBOLのスキルを持つことで、あなただけでなく、あなたの所属するチームも多様なプロジェクトに対応できるという価値が増します。
さらに重要なことは、COBOL資格を持つことで、COBOLエンジニアとしての自身の価値を高め、その結果給与の交渉材料になるなど、キャリア形成に直接的な影響を与えることが可能となります。
5.2 COBOLエンジニアの求人市場
次に、就職や転職市場におけるCOBOLエンジニアの位置づけについて考えてみましょう。一般的に、プログラミング言語の需要は新しい技術が登場することで頻繁に変化しますが、COBOLは現在でも多くの企業によって使われており、一部の業界ではCOBOLスキルを持つエンジニアが不足しています。
特に、金融業界では伝統的にCOBOLが利用されており、そのシステムの維持や更新にはCOBOL知識を持つエンジニアが必要となります。また、公共機関でもCOBOLを用いたシステムが多く存在し、COBOLエンジニアの需要は依然として高いままです。
よって、COBOL資格を取得することにより、より多くの企業から求められ、就職や転職の選択肢が広がるというメリットもあるのです。
6. COBOL資格取得者の声
COBOL資格を実際に取得した方々から、彼らの体験や学びを共有します。試験対策の方法から、試験前夜の心得まで、多くの有益な情報を提供します。
6.1 取得者の体験談
あるCOBOL資格取得者は、試験の内容が一部自分の想像とは異なったと振り返っています。「再現性のある問題と実際の業務経験を求める問題のバランスが取れており、すべての問題を解き終えるまでフルに時間を使った」と語ります。試験勉強中の苦労と充実感について、別の資格取得者は「COBOL語の構造や関数を学ぶのは時間がかかるが、一度理解するとあとはスムーズでした」と方法論を共有しています。これらの体験談は潜在的なCOBOL資格試験者には役立つだろうと考えられます。
6.2 資格取得のアドバイス
資格取得者からの有益なアドバイスには次のようなものがあります。「授業だけでなく、定期的な自己学習と自主的なプログラミング実践が必要」と述べ、独学の重要性を強調しています。また、「公式教材で学ぶだけでなく、実際の業務経験を模倣した問題を自分で作り解くこと」が効果的とアドバイスします。
そして、最後に一つ、重要なアドバイスがあります。「資格取得は一過性のものではなく、COBOLのスキルを維持強化するための出発点」です。稀にしか使用しないスキルではなく、頻繁に訓練と使用を重ねていくことが、真のスキル習得につながるというわけです。
7. まとめ
さまざまな情報を取り上げ、紹介してきましたが、最終章では全体をまとめ、COBOL資格取得への道をコンパクトに解説します。
7.1 COBOL資格を取るべき理由
COBOL言語は金融機関やインフラ系のシステムなど、私たちの生活を支える重要な分野で使用されています。そのため、COBOL技術者は常に市場から求められており、キャリアの安定性や市場価値が非常に高いです。
また、COBOLは長い間利用されてきたため、古いシステムの保守や改修作業に必要なスキルとしても価値が認められています。新しいテクノロジーに追いつけないという悩みを持つエンジニアにとって、COBOLは古くから存在する安定したプラットフォームで成長するチャンスを提供します。
COBOL資格を取ることで、これらの技術の理解を証明し、自身のスキルをアピールすることができます。また、これらの資格は多くの企業やプロジェクトで認識されており、職務経歴書を見た際に、COBOL資格の有無が重視されることがあります。したがって、COBOL資格を得ることは、高度な職業スキルや専門知識を持つ証明となるのです。
7.2 COBOL資格取得への一歩
入門書やオンライン教材を通じて基本的なコーディングの練習をしましょう。その上で、COBOL資格の対象カリキュラムを細部まで理解し、模擬問題でしっかりと練習することが重要です。
そして、COBOL資格試験に挑戦する前には、自分のスキルレベルを確認することが重要です。実際の試験になるべく近い条件で模試を行い、スキルギャップを特定しましょう。
COBOL資格を取得するために必要なのは、広範で深い知識だけではありません。地道な努力と持続力が鍵となります。確固たる理解を得て、自分自身のスキルを浮き彫りにすることで、確実に資格を取得し、自身の未来を切り開くことができるでしょう。
この記事が、あなたのCOBOL資格取得の旅の第一歩になり、あなたの可能性を広げる助けになることを強く願っています。
