COBOLの独学方法ガイド:初心者から上級者まで

目次

1. COBOLとは?

1.1 COBOLの概要と特徴

1.2 COBOLの使用範囲と現代での求められる需要

2. COBOLの基本的な構文

2.1 データ型と変数

2.2 演算子と演算

2.3 制御構文

2.4 ループ処理

2.5 例外処理

3. COBOLでのプログラム設計

3.1 プログラムの流れと設計方法

3.2 COBOLでの関数と手続き

4. 実際にCOBOLでプログラムを作成してみよう

4.1 開発環境のセットアップ

4.2 サンプルプログラムの作成

4.3 デバッグとテスト

5. COBOLの応用的な使い方

5.1 ファイル操作

5.2 データベース操作

5.3 COBOLと他の言語との連携

6. COBOLでのベストプラクティス

6.1 コードのリーダブル性向上のためのテクニック

6.2 COBOLでのエラーハンドリング

7. COBOL学習のためのリソース

7.1 オンラインリソース

7.2 書籍やチュートリアル

7.3 実践プロジェクトの例

8. まとめ: COBOL独学のステップ

1. COBOLとは?

COBOLとは、「COmmon Business Oriented Language」の略称である。これは、日本語に訳すと「一般商用向け言語」を意味する。COBOLは1959年に初めて開発され、その名の通り、特にビジネスシーンでの利用を前提としたプログラミング言語であり、 堅牢性信頼性に優れています。

1.1 COBOLの概要と特徴

COBOLが初めて開発されたのは、コンピュータが産業界で広く使われるようになった初期の頃で、その設計思想は、ビジネス用途に対応することに重きが置かれていました。これは、COBOLが請求書の計算や、在庫の管理といったような商用アプリケーションを短時間で開発することを目的としたからです。

なお、COBOLの特徴としては、まず強調すべきは、 読みやすさです。COBOLの構文は英語に近い構造をしており、その為、プログラムが何を行っているのかを一見して理解しやすいのです。また、COBOLは堅牢性が要求されるビジネス用途に適しており、長時間稼働させるのに適した設計となっています。

1.2 COBOLの使用範囲と現代での求められる需要

COBOLは主に金融機関や公共機関で使われてきましたが、その多くは大量のデータを取り扱う必要があったり、24時間365日休まぬ運用が求められるといった業務に関わるものでした。つまり、COBOLは大規模システムに対する高い信頼性を担保できる言語として選ばれてきました。

COBOLが開発されてから長い時間が経過しましたが、依然としてCOBOLのスキルは需要があります。それは古いシステムのメンテナンスや、新たなシステムへの移行作業が必要なためです。COBOLは新しい言語に比べて学生の間ではあまり学ばれていないため、COBOLを習得していると他の言語を学ぶよりも高い市場価値を持つことがあります。

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2. COBOLの基本的な構文

私たちは、COBOLの基本的な構文を理解することが重要だと学びました。なぜなら、それが洗練されたプログラムを作成するための基盤となるからです。それでは、いくつかの基本的な要素を検討していきましょう。

2.1 データ型と変数

初めに理解すべき最初のコンセプトはデータ型変数です。これらは私たちがプログラム内でデータをどのように扱うかを決定します。COBOLには数値型(NUMERIC)、文字型(ALPHABETIC, ALPHANUMERIC)などが存在します。変数はデータ項目(DATA-ITEM)とも呼ばれ、特定のデータ型の値を保持します。例えば、88レベル(条件名項目)は真偽値を表現します。

2.2 演算子と演算

次に、COBOLの演算子演算を見てみましょう。これらはプログラム内のデータの操作と計算に不可欠です。COBOLには算術演算子(Add, Subtract, Multiply, Divideなど)や比較演算子(Equal, Less Than, Greater Thanなど)が用意されています。

2.3 制御構文

制御の流れを理解するためには、制御構文を知る必要があります。これらはプログラムの実行流れを制御します。IF … THEN … ELSE文やEVALUATE文は条件に応じた制御を行います。PERFORM文やGO TO文はプログラムの制御を移行します。

2.4 ループ処理

ある処理を繰り返すループ処理も基本中の基本です。COBOLでは、例えばPERFORM UNTIL文を用いることで特定の条件が満たされるまで処理を繰り返すことができます。

2.5 例外処理

最後に、エラーや予期せぬ状況に対処するために、例外処理の理解が必要です。COBOLではEXCEPTIONオプションを用いて例外をハンドリングします。これにより、プログラムが予期せぬ状況に対応でき、安定性を保つことができます。

3. COBOLでのプログラム設計

このセクションでは、COBOL プログラムの設計する基本的なフローと、その設計方法について論じます。さらに、COBOL における関数や手続きを詳しく解説していきます。

3.1 プログラムの流れと設計方法

COBOLプログラムの設計を行うためには、最初に全体のフローを理解するところから始めましょう。一般的にCOBOLプログラムには、’IDENTIFICATION DIVISION’、’ENVIRONMENT DIVISION’、’DATA DIVISION’、そして ‘PROCEDURE DIVISION’という四つの主要なセクションが存在します。

最初の部分となる'IDENTIFICATION DIVISION'では、プログラムの基本的な情報を記述します。次に'ENVIRONMENT DIVISION'ではプログラムの実行環境を設定する情報を記述します。

続いて重要な部分である'DATA DIVISION'では、このプログラムで使用する変数やデータの型を定義します。最後に'PROCEDURE DIVISION'では実際にプログラムのロジックを書き加える領域となります。

これらのフローに乗っ取って設計を進めることで、人間が理解しやすいプログラムを書くことができます。COBOL の設計では、自然言語に近いシンタックスを利用することでビジネスロジックを直感的に表現することが可能なので、丁寧な設計を行うことで読み手にとって理解しやすいコードを書くことができます。

3.2 COBOLでの関数と手続き

COBOLでは、関数と手続きを利用してコードの再利用性を高めることができます。'PROCEDURE DIVISION'内にサブプログラムとして定義し、必要なときに呼び出すことが一般的です。

COBOLの関数は、特定の値をを返す処理を実装します。例えば、税込み価格を計算する関数なら、税抜き価格と税率を引数に取り、計算結果を返すような形にします。

手続きは関数と異なり、特定の処理を実行するだけで明示的な値を返さないものを指します。つまり、何らかの処理を遂行するが結果を返す必要がない場合、手続きとして定義します。

これらの関数と手続きを適切に使い分けることで、COBOLプログラムは生産性が高まり、メンテナンス性も向上しますので是非活用しましょう。

4. 実際にCOBOLでプログラムを作成してみよう

自分自身でプログラムを作り、実行してみることは学習における非常に重要なステップです。そこで、以下ではCOBOLでプログラムを作成するための開発環境のセットアップ方法から、サンプルプログラムの作成、デバッグとテストについて解説します。

4.1 開発環境のセットアップ

まずCOBOLでプログラムを作成するためには、COBOLが利用できる環境を自身のコンピュータにセットアップする必要があります。具体的には以下のステップに沿って進められます。

1.COBUGというオープンソースのCOBOLコンパイラをインストール。
2.テキストエディタ(例えば、Visual Studio CodeやSublime Text等)を準備。
3.ターミナル環境を整える。(Macの場合は既にターミナルが利用可能、Windowsの場合はPowerShellなどを活用)

以上でCOBOLのプログラミング環境が整いました。これであなたはCOBOLでプログラムを作成し、それを実行することが可能となります。

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4.2 サンプルプログラムの作成

次に、実際にCOBOLでサンプルプログラムを作成してみましょう。ここで作るプログラムは、シンプルな挨拶を出力するものとします。COBOLは英数字で読み書きでき、COBOLのメッセージは一連の文字列として読み込まれます。最も基本的なメッセージ出力のプログラムは以下のようになります。

PROCEDURE DIVISION.
DISPLAY 'Hello, COBOL world!'.
STOP RUN.

この短いプログラムは、’Hello, COBOL world!’というメッセージを出力します。初めてプログラムを書く際には、出力メッセージを変更してみたり、新しいメッセージを追加するなどしてみてください。

4.3 デバッグとテスト

COBOLプログラムを作成したら、次はデバッグとテストを行います。シンプルなプログラムの場合、エラーやバグが起きることは少ないですが、もし予期しない出力が得られたり、プログラムが期待通りに動かない場合は、デバッグが必要です。デバッグには専用のツールが存在しますが、基本的にはエラーメッセージをよく読み、その指示に従って問題を解決していきます。

最後にテストします。テストはプログラムが想定通りに動作することを確認するために実施します。これを早い段階で行うことで、問題が発生した場合の修正コストを大幅に減らすことができます。テストは、初めてプログラムを書いたときから取り組んでみてください。

以上のステップで、あなたは初めてのCOBOLプログラムの作成と実行に成功しました。おめでとうございます!引き続き、さまざまなプログラムを自身で作成してみて、COBOLの理解を深めていきましょう。

5. COBOLの応用的な使い方

基本的な構文とプログラムの作り方を一通り理解したら、次はCOBOLの応用的な使い方について学んでいきましょう。この部分では、ファイル操作、データベース操作、さらには他の言語との連携方法について詳しく解説します。

5.1 ファイル操作

COBOLでは、ファイル操作を行うための特別な構文が提供されています。これにより、テキストファイルやCSVファイルを読み書きするプログラムを容易に作成することが可能です。たとえば、OPEN文を使用してファイルを開き、READ文で読み込み、WRITE文で書き込みを行います。さらに、START, REWRITE, DELETE等の命令もあります。

5.2 データベース操作

また、COBOLは業務アプリケーションの開発において頻繁に使われるため、データベースとの連携機能も非常に強力です。命令の一部としてEXEC SQL文が用意されており、これを使用してSQLクエリを直接プログラム中に記述することが可能です。これにより、データベースの様々な操作を行うことが可能になります。

5.3 COBOLと他の言語との連携

COBOLは古典的な言語ですが、現代のプログラミング環境とも連携することが可能です。特にJavaやC言語との連携が容易に行えます。そのため、COBOLで書かれた既存の大規模システムに対して、JavaやC言語などで書かれた新しいモジュールを追加してシステムを拡張するといったことも可能です。これにより、現代の開発技術を取り入れつつ、COBOLの強力なビジネスロジックを活かすことができます。

6. COBOLでのベストプラクティス

COBOLをより効果的に使用するためのベストプラクティスを記述します。これらのテクニックを忠実に遵守することで、プログラムの信頼性を高めるだけでなく、そのメンテナンスも容易になります。

6.1 コードのリーダブル性向上のためのテクニック

どんなプログラミング言語でも、コードのリーダブル性を確保することは非常に重要です。COBOLでは、特に以下のようなテクニックを意識することで、コードが理解しやすく、追いやすくなります。

まず、変数と手続きの命名は適切に行いましょう。COBOLでは、変数や手続きに長い名前を付けられるため、その機能を直感的に理解できるような名前にすることが可能です。また、標準的な命名規則を遵守し、一貫性を持たせることも重要です。

次に、プログラムの構造を明確にするためにも、区域分割インデントを適切に行いましょう。これにより、プログラムの各部分がどのような役割を担っているのかが一目瞭然になります。

さらに、必ずコメントを書くように心掛けましょう。一般的な行の説明だけではなく、特に複雑な手続きや、特定のコードブロックの役割を説明するためには欠かせません。

6.2 COBOLでのエラーハンドリング

エラーハンドリングは、COBOLプログラムを安定して動作させるためには必須です。エラーハンドリングは、プログラム中で予期しない状況が生じたときに、それを適切にキャッチし、プログラムの終了やデータの損失を防止するためのものです。

COBOLには、エラーハンドリングに利用される特定の構文が用意されています。例えば、ON EXCEPTIONINVALID KEYなどのフレーズがそれにあたります。これらのフレーズは、特定の実行エラーが起きたときに実行する命令を定義するのに使用します。

このようなエラーハンドリングの手法を実装することで、プログラムは非常に堅牢になります。エラーが発生しても適切に対処すれば、システム全体のダウンタイムを防ぐことができます。

7. COBOL学習のためのリソース

COBOLの学習にあたり、リソースは重要な役割を果たします。リソースの選択は学習プロセスを容易にするだけでなく、深い理解を促進します。ここでは、主にオンラインリソース、参考書籍やチュートリアル、実践プロジェクトの例をご紹介します。

7.1 オンラインリソース

まず初めに、数多く存在するオンラインリソースからいくつかをピックアップしてみましょう。IBM Developerでは、COBOLの基本的な理解からコード例、チュートリアルまで幅広いリソースを提供しています。また、COBOL Programming Courseも一見の価値があります。ここではコンテンツが細かく分かれていて、手順に沿って学習を進めることができます。

7.2 書籍やチュートリアル

書籍も非常に有用なリソースです。“Beginning COBOL for Programmers”などは、既に他の言語でプログラミング経験を持つ方や、COBOLについて更に詳しく学びたい方向けの書籍です。加えて、“Murach’s Mainframe COBOL”は大規模なCOBOLアプリケーション開発に参考になるでしょう。なお、これらの書籍には、多数の実践的なプログラム例や練習問題が含まれています。

7.3 実践プロジェクトの例

COBOLの理解を深める最良の方法は、実際に小規模なプロジェクトを手掛けることです。例えば、シンプルな顧客管理システムや簡易版の銀行システムなどのプロジェクトに挑戦する事で、リアルなビジネス問題を解決するためのスキルが身につきます。このようなプロジェクトに取り組む際には、GitHubなどのサイトで他の人々のCOBOLプロジェクトを参考にすることをお勧めします。

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8. まとめ: COBOL独学のステップ

今回は、COBOLの基本から応用までの学習法と、そのステップについて解説しました。この記事が、COBOLの学習を始めようとしている皆さんの一助となることを願います。

まず最初に、COBOLがどのような言語でどんな特徴を持つのか理解することが大切です。そして、基本的な構文を学び、実際にプログラムを書くためには、適切な開発環境が必要となります。コードを書く際は、常に読みやすさと保守性を考えることが重要です。それは、COBOLがビジネスで長く使われる言語だからです。

次に、基本的なコーディングができるようになったら、応用的な使い方について学んでいきましょう。ファイルやデータベースの操作、他の言語との連携など、COBOLの強力な機能について学ぶことで、より広範な問題を解決することができるようになります。

ここで重要なのは、実際に手を動かしてプログラムを作成する経験を積むことです。 それは、理解を深めるだけでなく、自信をつけるためでもあります。実際のプロジェクトを通じて学ぶことで、あなたのスキルは確実に向上します。

最後に、リソースを上手に活用しましょう。インターネット上の資料や書籍を活用し、継続的に学ぶ姿勢が自身のスキルと知識の向上につながります。挫折しないこと、そして楽しみながら学び続けることが最も重要です。それがCOBOL独学の最大のステップと言えるでしょう。

そうは言っても、最初から完璧を目指すことはありません。少しずつでも確実に前進し、一つずつ課題をクリアして行くことが大切です。 COBOLの学習を始める皆さんが本記事に公開された情報を活用し、COBOL学習の旅路で成功を収めることを心から願っています。

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